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2009. 08.06
東京証券取引所における第三者割当に対する新たな規制の概要 ~第三者割当に関する有価証券上場規程等の改正
執筆者
弁護士 吉村 龍吾 ryoshimura@mofo.com / 清水 航 wshimizu@mofo.com
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(本稿は執筆者個人の見解に関わる部分があり、当事務所の意見を代表するものではありません。)
平成21年7月30日、東京証券取引所(「TSE」)から、有価証券上場規程及び有価証券上場規程施行規則等の一部改正が正式に発表された(平成21年8月24日施行)。
今回の改正には、企業行動規範や実行性確保手段の整理、適時開示の充実化など、ほかにも注目すべき内容が含まれるがそれは別途の機会に譲り、本ニューズレターでは、上場会社の第三者割当に関する改正を取り上げる。
平成21年6月2日付けニューズレター(東京証券取引所における第三者割当に対する新たな規制案の概要)でお伝えしていたとおり、TSEは、平成21年5月19日に、「『2008年度上場制度整備の対応について』に基づく上場制度の整備等について」と題するパブリック・コメントを出し、上場会社の第三者割当に対する新たな規制案の概要を明らかにした。今回の有価証券上場規程等の改正は、当該パブコメで明らかにされた上場会社の第三者割当に関する規制案を具体化したものである。パブコメの規制案の内容から大きな変更はないが、今回の有価証券上場規程等の改正によってさらに詳細な内容が明らかになった上場会社の第三者割当規制の概要を以下のとおりまとめた。
なお、以下の表における希釈化率の定義は次のとおりであり(施行規則第435条の2第1項)、分母には潜在株式を含めないことに注意を要する。[1]
希釈化率:A / B (%)
A:当該第三者割当により割り当てられる募集株式等に係る議決権数(転換又は行使により交付される株式に係る議決権数を含む。潜在株式数の算定にあたっては行使価額等が修正される場合はその下限で算定する)
B:当該第三者割当の募集事項決定前における発行済株式に係る議決権数(潜在株式は含めない)
| 要件 | 規制内容 | 備考 | |
| ① 第三者割当に基づく上場廃止 | 希釈化率が300%を超えるとき | 上場廃止 (規程第601条第1項第17号、施行規則第601条第13項第6号) |
[例外] 株主及び投資者の利益を侵害するおそれが少ないとTSEが認める場合[2]は除く(第三者割当の目的、割当対象者の属性、発行可能株式総数の変更手続の実施状況その他の条件が総合的に考慮される) |
| 第三者割当により支配株主が異動した場合[3]において、支配株主が異動した日が属する事業年度の末日から起算して3年を経過する日までの期間に支配株主との取引に関する健全性が著しく毀損されているとTSEが認めるとき (取引の合理性、取引条件の妥当性その他の事情が総合的に勘案される) |
上場廃止 |
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| ② 行為規制 | 希釈化率が25%以上となるとき又は支配株主が異動するとき | 以下のa又はbの手続きを経ることが要求される (規程第432条、施行規則第435条の2) a. 経営陣から一定程度独立した者(第三者委員会、社外取締役、社外監査役等)による第三者割当の必要性及び相当性に関する意見の入手 (実務上、取締役会決議日までに意見を入手することが求められる) b. 株主総会の決議など(勧告的決議を含む)の株主の意思確認 (実務上、払込期日までに意思確認を実施することが求められる) |
[例外] 当該割当の緊急性が極めて高いものとしてTSEが認めた場合[4]は除く |
| ③ 適時開示 | 上場会社が第三者割当を行う場合一般 | 以下の事項についての適時開示が要求される (規程第402条、施行規則第402条の2) a. 割当先の払込みに要する財産の存在について確認した内容[5] b. 払込金額の算定根拠及びその具体的な内容(TSEが必要と認める場合は[6]、払込金額が割当先に特に有利でないことに係る適法性に関する監査役又は監査委員会の意見等を含む) c. 本表②a又はbの手続きを行う場合にはその内容、②の例外(当該割当の緊急性が極めて高いものとしてTSEが認めた場合)に該当する場合には、その理由 d. その他TSEが投資判断上重要と認める事項 |
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| ④ 確認書 | 上場会社が第三者割当を行う場合一般 | 割当先が反社会的勢力との関係がないことを示す確認書を作成後直ちに提出することが要求される (規程第402条第1号、施行規則第417条第1号g等) なお、実務上、本確認書に割当先の属性を示す書面を添付し、発行決議日の前営業日までに提出することが求められる。 |
[例外] 割当先の全てがTSEの上場会社又は取引参加者である場合は除く |
(引用条文の略語)
- 「規程」:有価証券上場規程
- 「施行規則」:有価証券上場規程施行規則
- いずれも、改正後の条文を前提としている
[1] なお、第三者割当を短期間(6か月を目安)に複数回実施する場合には、当該第三者割当が一体とみなされ、この希釈化率の算出方法が適用される。
[2] 具体的には、公的資金の注入や、段階的に株主意思確認手続きを行う場合(株主総会決議により定款変更を行い、段階的に発行可能株式総数を拡大するような場合)が想定されている。
[3] 当該割当により支配株主が異動した場合及び当該割当により交付された募集株式等の転換又は行使により支配株主が異動する見込みがある場合をいう(施行規則第601条第9項第1号)
[4] 資金繰りが急速に悪化していることなどにより、②a又はbの手続きのいずれも行うことが困難であるとTSEが認めた場合をいう(施行規則第435条の2第3項)。なお、TSEは、②a又はbのいずれも行うことが困難なほど「緊急性が極めて高い」ケースは、極めて限定的になると考えているようである(「「「2008年度上場制度整備の対応について」に基づく上場制度の整備等について」に寄せられたパブリック・コメントの結果について」3頁)。
[5] 預金残高の確認や、融資証明の徴求などの方法による可能な範囲での確認が想定されているが、証明書を開示資料に添付することまでは要求されないようである(「「「2008年度上場制度整備の対応について」に基づく上場制度の整備等について」に寄せられたパブリック・コメントの結果について」3頁)。
[6] 株主総会において有利発行の特別決議を経る場合、及び決議の直前日の価格、決議日から1か月、3か月、6か月の平均の価格からのディスカウント率を勘案して、有利発行に該当しないことが明らかな場合(上場株の場合に限る)は、適法性に関する監査役又は監査委員会の意見等の記載は不要とされる。
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