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2010. 01.22
独立役員の選任義務化等に関する東京証券取引所における新たな規制の概要
執筆者
弁護士 穂髙 弥生子 / 弁護士 川中 浩平
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平成21年は、経済産業省の企業統治研究会による平成21年6月17日付「企業統治研究会報告書」や、金融庁の金融審議会金融分科会による同日付「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~」に見られるように、コーポレート・ガバナンス改革に向けた極めて重要な報告・提言が複数行われた年であった。これらを踏まえ、平成21年12月22日、東京証券取引所(「東証」)から、有価証券上場規程、有価証券上場規程施行規則及び上場管理等に関するガイドライン等の一部改正が発表され(平成21年12月30日施行)、独立役員の選任義務化及びその開示等が上場会社に求められることとなった。
今回の有価証券上場規程等の改正には、適時開示制度の見直しや国際会計基準(IFRS)導入に向けた体制の整備等、他にも注目すべき内容が含まれるが、それは別の機会に譲るとして、本ニューズレターでは、実務上の影響が最も大きいと思われる、上場会社における独立役員の選任義務化等に関する改正に的を絞って取り上げることとする。以下、改正の三本柱である①コーポレート・ガバナンス体制に関する開示の充実、②独立役員の選任義務化、③独立役員に関する開示、に分けて概説する。
| ① コーポレート・ガバナンス体制に関する開示の充実 | |
| 規制内容 | 留意点 |
| (1) 自らのコーポレート・ガバナンス体制を選択する理由を「コーポレート・ガバナンス報告書」で開示する。[1] | |
| (2) 社外取締役を導入している場合は、社外取締役の役割・機能に関する記載を行う必要があり、社外取締役を置いていない場合は、コーポレート・ガバナンス体制の整備・実行に係る独自の取組みの内容について開示を行う必要がある。 |
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| (3) 監査役の機能強化に関する取組状況について具体的に記載する必要がある(監査役監査を支える人材・体制の確保状況、独立性の高い社外監査役の選任状況、財務・会計に関する知見を有する監査役の選任状況等)。[5] | |
| (4) 全ての上場会社は、自らのコーポレート・ガバナンス体制を選択する理由を反映したコーポレート・ガバナンス報告書を、平成22年3月31日までに東証に提出する必要がある。[6] |
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| ② 独立役員の選任義務化 | |
| 規制内容 | 留意点 |
| (1) 一般株主保護のため、社外取締役・社外監査役の中から、一般株主と利益相反が生じるおそれのない者を独立役員として1人以上確保する必要がある。[8] 適用開始時期は、平成22年3月1日以降に終了する事業年度にかかる定時株主総会(3月決算の会社の場合、平成22年6月の定時株主総会)の翌日以降。[9] (2) 違反した場合は実効性確保措置の対象となる。 実効性確保措置の適用開始時期は、原則として、平成23年3月1日以降に終了する事業年度に係る定時株主総会(平成23年6月の定時株主総会)の翌日以降。 |
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(3) 独立役員候補者が、上場会社の経営陣から著しいコントロールを受け得る者である場合や、上場会社の経営陣に対して著しいコントロールを及ぼしうる場合には、東証に対して事前相談を行う必要がある。 一般株主と利益相反の生じるおそれが高いと東証が判断する基準は、下記のとおり、ガイドライン(III 5.(3)の2)に明記されており、独立役員候補者がこれに該当する場合には事前相談が必要となるが、該当しない場合は事前相談を行う必要はない。 [12] 記 a 当該会社の親会社又は兄弟会社の業務執行者[13] b 当該会社を主要な取引先とする者若しくはその業務執行者又は当該会社の主要な取引先若しくはその業務執行者 c 当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう。) d 最近においてaから前cまでに該当していた者 e 次の(a)から(c)までのいずれかに掲げる者(重要でない者を除く。)の近親者 (a) aから前dまでに掲げる者 |
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| (3) 独立役員に関して記載した「独立役員届出書」を東証に提出する必要がある(なお、提出された独立役員届出書は公衆の縦覧に供される。)。[16] |
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| (4) 独立役員の異動(新任、退任、属性の変更)が生じる場合には、原則として、異動の2週間前までに東証に届出を行う必要がある 。[18] |
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| (5) 全ての上場会社は、独立役員の確保の状況について記載された「独立役員届出書」を、平成22年3月31日までに東証に提出する必要がある。[19] | |
| ③ 独立役員に関する開示 | |
| 規制内容 | 留意点 |
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(1) 独立役員の確保の状況(独立役員として指定する者が、下記のaからeまでのいずれかに該当する場合は、それを踏まえてもなお独立役員として指定する理由を含む。)を、コーポレート・ガバナンス報告書において開示する必要がある 。[20] 記 a 当該会社の親会社又は兄弟会社の業務執行者等(業務執行者又は過去に業務執行者であった者をいう。以下同じ。) b 当該会社を主要な取引先とする者若しくはその業務執行者等又は当該会社の主要な取引先若しくはその業務執行者等 c 当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者及び当該団体に過去に所属していた者をいう。) d 当該会社の主要株主(当該主要株主が法人である場合は、当該法人の業務執行者等をいう。以下同じ。) e 次の(a)又は(b)に掲げる者(重要でない者を除く。)の近親者 (a) aから前dまでに掲げる者 |
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| (2) 独立役員の指定理由として、独立役員の指定に至るまでの経緯や、第三者委員会等の指定プロセスを経ているかなど、その過程について併せて記載する必要がある。[29] |
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| (3) 独立役員の確保の状況についての内容を反映したコーポレート・ガバナンス報告書を、平成22年3月1日以降に終了する事業年度にかかる定時株主総会(平成22年6月の定時株主総会)終了後遅滞なく東証に提出する必要がある。[30] |
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[1] 施行規則第211条第6項第2号、第226条第6項第2号
[2] パブコメ項番2
[3] 記載要領9頁
[4] 記載要領7頁
[5] 記載要領10頁
[6] 施行規則付則第5項
[7] パブコメ項番4
[8] 規程第436条の2
[9] 規程付則第4項
[10] パブコメ項番13
[11] パブコメ項番12
[12] パブコメ項番7
[13] ここでの業務執行者は、会社法施行規則第2条第3項第6号に定めるものをいう。以下同じ。
[14] パブコメ項番10
[15] パブコメ項番10において、「「主要な」「多額の」といった各社の判断基準については、一般論としては、コーポレート・ガバナンス報告書における開示において、必要に応じて開示していただくことにも意味があるものと考えられます。」とされている。
[16] 施行規則第436条の2第1項
[17] 平成21年10月29日付東証社長記者会見における斉藤社長の発言
[18] 施行規則第436条の2第2項
[19] 施行規則付則第11項
[20] 施行規則第211条第6項第5号、第226条第6項第5号
[21] 会社法施行規則74条4項6号、76条4項6号
[22] 施行規則第211条第6項第5号、第226条第6項第5号、記載要領7頁
[23] 記載要領6頁
[24] パブコメ項番17、記載要領6頁
[25] 記載要領6頁
[26] 日本公認会計士協会「独立性に関する概念的枠組み適用指針」第107項以下
[27] パブコメ項番16、記載要領6頁
[28] 記載要領6頁
[29] 記載要領7頁
[30] 施行規則付則第8項
[31] 記載要領5頁



