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2010. 04.05
「株券等の公開買付けに関するQ&A」の追加及び「株券等の大量保有報告に関するQ&A」の最終版の公表について
執筆者
弁護士 吉村 龍吾 / 弁護士 山崎 敬子 / 弁護士 竹田 絵美 / 弁護士 合田 久輝 / 弁護士 高 賢一
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当事務所のニューズレターですでにお伝えしましたとおり[1]、金融庁は、2010年2月に、株券等の公開買付けに関するQ&Aの追加案(以下「公開買付けQ&A追加案」といいます)と株券等の大量保有報告に関するQ&A(案)(以下「大量保有Q&A案」といいます)を公表し、パブリックコメント手続きに付していました。これらのQ&Aについて、金融庁は、2010年3月31日、パブリックコメントの結果と共に各Q&Aの最終版を公表しました(以下、公開買付けQ&A追加案の最終版を「公開買付けQ&A最終版」、大量保有Q&A案の最終版を「大量保有Q&A最終版」といいます)[2]。公開買付けQ&A最終版と大量保有Q&A最終版について、提案段階からの変更点は金融庁ウェブサイトにて公表されていますが、本ニューズレターでは、これらの変更点のうち重要と考えられるものを簡単に紹介します[3]。
1.公開買付けQ&A最終版
有価証券報告書提出会社の株券等の3分の1超を保有する資産管理会社の株式取得が公開買付規制の対象となるか否か(問15[4])について、公開買付けQ&A追加案は、当該資産管理会社の状況によっては、「結果的に当該資産管理会社を支配し得るような」株式の取得が公開買付規制に抵触するとの考えを示していました。この「結果的に当該資産管理会社を支配し得るような」株式の取得に該当しうる例として、公開買付けQ&A最終版は、「特別関係者と合算して、当該資産管理会社の総株主等の議決権の過半数を取得することとなる」場合との記載を加えました。
また、公開買付けに要する資金の証明について(問32)、公開買付けQ&A追加案では、公開買付け資金にかかる貸付契約に前提条件が付されている場合には、当該条件を公開買付届出書に具体的に記載し、又は当該条件の内容が記載された書面を添付する必要があるとしていました。この点は、当事務所のニューズレターにおいても、これまでの実務の取扱いと異なるため、注意を喚起していた点でもあります。公開買付けQ&A最終版では、貸付人や公開買付者等の利益保護に配慮し、開示されるべき前提条件を「重要な事項の内容」に限定する記載が加えられました。「重要な事項の内容」には、いわゆる表明・保証等、当該前提条件において言及されている事項のうち、重要な事項の内容を含むとされています。また、当該前提条件の内容が個人のプライバシーや会社の営業秘密に関わるなどの理由により、その開示をすることが、貸付人、公開買付者又は対象者その他の者の利益を著しく害するおそれがある場合には、当該利益に配慮した開示の方法が認められると考えられるとの記載も加えられました。
何が「重要な事項」に該当するか、どの程度詳細な開示が必要となるのか、その判断基準や具体例は公開買付けQ&A最終版では示されていないため、今後の実務の集積が注目されます。
2.大量保有Q&A最終版
大量保有報告書の提出義務を負う株券等の「保有者」の解釈に関連し、大量保有Q&A案の問14は、デリバティブ取引のロングポジションを保有する者について、経済的な損益のみが帰属するに過ぎない場合は通常「保有者」には該当しないと考えられるものの、一定の場合に「保有者」に該当するとの解釈を示していました。大量保有Q&A最終版では、この「保有者」に該当する場合がより詳細に示されました。具体的には、
- 配当等の支払いを含め、原資産である株券等を保有する場合と同様の経済的利益及び損失を帰属させるものであって、かつ
- 現物の株券等の取得及び処分に、当該デリバティブ取引のロングポジションの保有者の支配が及んでいると考えられる場合
には、当該デリバティブ取引におけるロングポジションの保有者は、ショートポジションの保有者がヘッジ取得した現物の株券等について「保有者」に該当すると考えられるとしています。さらに、(2)に該当する場合の例として、大量保有Q&A最終版では、ヘッジ取得に加え、デリバティブ取引終了時に原資産である株券等の交付により決済することも想定している場合も明記されました。
[1] 2010年2月発行の「株券等の公開買付けに関するQ&Aの追加案について」(http://www.mofo.jp/topics/legal-updates/legal-updates/20100223.html)、2010年3月発行の「『株券等の大量保有報告に関するQ&A(案)』の公表について」(http://www.mofo.jp/topics/legal-updates/legal-updates/20100301.html)。
[2] 金融庁「『株券等の公開買付けに関するQ&A』の追加について」(http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100331-11.html)、「『株券等の大量保有報告に関するQ&A』の公表について」(http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100331-12.html)。
[3] 本ニューズレターは、公開買付けQ&A最終版と大量保有Q&A最終版のうち執筆者らが重要と考えたものを挙げたものに過ぎず、その他の論点について重要でないことを意味するものではない。
[4] 公開買付けQ&A追加案における問の番号を意味する。以下本項において同様。
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