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2006. 05.01

米国連邦最高裁判所は侵害認定に基づく自動的な差止命令を特許所有者に認めないと判断

マイケル・カールソン 、 ウィル・フィットン

合衆国連邦最高裁判所は、待ち焦がれた判決において、特許を侵害されていると認定された特許所有者は当然にして終局的差止命令を認められるという「一般的原則」が存在するとの考え方を否定した。即ち、 2006 年 5 月 15 日月曜日に下された eBay v. MercExchange 事件判決( 2006 U.S. Lexis 3872 )において連邦最高裁判所は、勝訴当事者である原告に終局的差止命令による救済を認めるか否かを検討するに際して、裁判所は、「自動的」差止命令原則を適用するのではなく伝統的な 4 要件からなる判断基準を適用しなければならない、と全会一致で判断した。同基準の下で、原告は次の点を立証することが要請される。即ち、( 1 )原告が回復不能の損害を被ったこと、( 2 )コモン・ロー上与えられる救済ではその損害を補填するのに十分ではないこと、( 3 )衡平(エクイティ)上の救済が原告および被告間の不利益の比較衡量( balance of hardships )に照らして正当化されること、および( 4 )終局的差止命令によって公益が損なわれないこと、の各要件である。ただし、同判例を支持しながらも、同判決が終局的差止命令を獲得する勝訴当事者たる特許権者(原告)の能力を実際に変更することになるか否かは現段階では必ずしも明確ではないとする意見もある。

最高裁判所の短く簡潔にまとめられた判決には、二つの下級裁判所に対する批判的な言葉が含まれている。「地方裁判所と控訴裁判所はいずれも、終局的差止命令に関する被告の申立てを判断するに際して伝統的な衡平の原則(principles of equity)を...公正に適用していない。」地方裁判所は、eBayがMercExchangeの有効な特許を故意に侵害したと認定しながら、終局的差止命令の発行を拒否した。同地方裁判所は、MercExchangeがその特許を自ら実施せずライセンス許諾することを希望していたこと、当該特許がビジネス・メソッドに関するものであること(裁判所はこれを特許対象として懐疑的であるという見方をしている)、および差止命令を強制するにおいて困難が予想されることを理由に、終局的差止命令は適当ではないと考えた。また連邦巡回控訴裁判所は、地方裁判所の分析を否定した上で、「一般的原則[として]...裁判所は、特段の事情がない限り、特許侵害に対して終局的差止命令を発行する」と結論づけた。

これに対し最高裁判所は、連邦巡回控訴裁判所が「『侵害の事実と有効性が認定された以上、終局的差止命令が発行される』という特許紛争に特有の『一般的原則』を明確に打ち出す[こと]」によって誤りをおかしたと認定し、同裁判所の判決を破棄した。最高裁判所の判断の根拠は特許法の明文の規定にある。即ち特許法は、差止命令は「衡平の原則に従って」発行する「ことができる」と規定する(35 U.S.C. § 283)。判決文を書いたThomas裁判官は、特許法には、連邦議会が伝統的な4要素判断基準から逸脱することを意図したことを示すものは何も無いと認定し、著作権の処理の仕方 -- 著作権侵害が認定された場合自動的に差止命令が下されるという見解を採用することは裁判所によって一貫して拒否されてきた -- と同様な処理を特許においても採用するべく舵を切った。さらに最高裁判所は、特許法が特許所有者に、他者が発明を実施し、使用し、販売の申し出をし、又は販売するのを「排除する権利」を与えているからといって、「権利の創設は当該権利の侵害に対する救済の付与とは別物である」ことから、かかる事実をもって終局的差止命令による救済を承認する一般的原則が正当化されることにはならない、とも強調している。

同様に最高裁判所は、「差止命令による救済が広範なケースで発行できないと示唆する拡大された原則を採用しているように思われる」として地方裁判所のアプローチを却下した。即ち、最高裁判所は、地方裁判所が、差止命令が発行されなかったとしても特許権者が回復不能な損害を被ることはないことを立証するのに、原告がその特許をライセンス許諾することを希望し、そして自ら実施しなかったことを示せば十分であると認定しているとした。最高裁判所は「伝統的な衡平の原則はかかる広範な分類化を認めない」と判示している。

大学の研究者や独立の発明家などのある種の特許所有権者は、特許を自ら商品化して市場に投入するために必要な資金を確保しようとするよりも、自身の特許ライセンスを許諾することを合理的に望むことが考えられる。このような特許所有権者であっても伝統的な4要件を満足し得るかもしれず、従って当裁判所は彼らがそれを行う機会を頭から否定する根拠はないと考える。

こうして最高裁判所は、「差止命令による救済を認めるか否かの判断は地方裁判所の衡平に基づく裁量に委ねられのであり、そのような裁量権は伝統的な衡平の原則によって規律される他の事件同様特許事件においても同原則に従って行使されなければならない」と結論した。

最高裁判所の判断はエレクトロニクスおよびソフトウェア業界が広く待ち望んだものであった。これらの業界は、自動的差止命令を認める連邦巡回控訴裁判所の原則が特許権行使に専従する企業(いわゆる「特許トロール」または「非実施主体」)に対して不当かつ不要な武器を与えるものであると批判していた。同様に、特許対象範囲について懸念する者も、自動的差止命令の原則を否定し下級裁判所が差止命令を発行すべきか否かを決定する際に当該特許の性質を検討することを明示的に認める判断を望んでいた。逆に、製薬およびバイオテクノロジー業界は、多額の費用を要するイノベーションを保護するために第三者を排除する特許権に強く依存していることから自動的差止命令を支持していた。また大学側は、特許を実施しない特許権者の権利を制限することを狙った決定が出されれば大学の持つ特許群の価値に否定的な影響を及ぼしうることを懸念していた。

しかしながら、最高裁判所の出した限定的な判決はいずれの立場にも明確な勝利を与えなかった。ただし、同意意見は産業界にとって関心のある争点についての裁判所の考え方を垣間見せ、将来的に差止命令が認められる範囲が不明確であることを明らかにしている。

ScaliaおよびGinsburg両裁判官と共同で出されたRoberts最高裁判所長官の同意意見には、同長官がこの判決によってはほとんど何も変わらないと考えていることが示されている。即ち、特許法においては裁判所は「侵害者が特許権者の意思に反して発明を使用することを容認する金銭的救済によって排他的権利を保護することの困難さ -- 即ち伝統的な4要件のうち最初の2つの要件に関わってくる困難さ」ゆえに終局的差止命令を伝統的に認めてきた、とその同意意見は指摘する。そして、地方裁判所が4要件を適用する際はこうした歴史を無視して「完全な白紙の上に書いている」が如く判決すべきではない、と結論づけている。

一方、Stevens、SouterおよびBreyer裁判官と共同して出されたKennedy裁判官の意見は異なる見解を提示している。Kennedy裁判官は、ほとんどの特許侵害者に対して終局的差止命令を認めるという「伝統的な慣行の教訓」は「事案の状況が裁判所がかつて扱ったことのある訴訟と実質的な類似性をもっている場合には最も有用かつ有益なものである」、とする。しかしながら、現在裁判所に持ち込まれる「多くの事例では」「特許の性質」も「特許所有権者の経済的な役割」も「従前の事案と極めて異なって」いるとしている。Kennedy裁判官は、主にライセンス実施料を得るために特許を使用し取引の道具として差止命令を求める非実施主体の場合、「侵害に対する補償は損害賠償でおそらく十分であり、差止命令は公益に資するものとはならない可能性がある」と考える。さらに、地方裁判所は4要件を適用する際「かつては経済的および法的にそれほど重要性のあるものではなかったビジネス・メソッドに関する特許」の「潜在的な曖昧さと有効性の疑わしさ」を考慮してもよいとも同裁判官は考える。そして、最高裁判所長官の同意意見と袂を分かちつつ、Kennedy裁判官は、「地方裁判所は現在係属中の事件の状況が過去の慣行と合致するものか否かを検討しなければならないことを認識すべきである」と結論づけている。

今回の最高裁判所の判断の長期的な影響を予測するのは困難である。「歴史の一頁は幾千の論理に値する」という Roberts 長官の説示に従うならば、「圧倒的に多くの特許事件において」終局的差止命令が認められてきたという従前の慣行に裁判所は今後も従うことになるだろう。他方、下級裁判所が Kennedy 裁判官の同意意見の論理を採用するならば、非実施主体は終局的差止命令を獲得するのにこれまで以上に高いハードルに直面することになるかもしれない。後者の場合、裁判前の和解金を押し下げることになるであろう。

* * *

マイケル・カールソンはモリソン・フォースターのサンフランシスコ事務所のパートナー弁護士で特許訴訟に注力した実務を行っている。ウィル・フィットンも特許訴訟対応に長けた同事務所のアソシエート弁護士である。


Supreme Court Decides That Patent Owners Are Not Entitled to Automatic Injunction on a Finding of Infringement

Michael M. Carlson, Will B. Fitton

In an eagerly awaited decision, the United States Supreme Court has rejected the notion that there is a "general rule" that a patent owner is entitled, as a matter of course, to a permanent injunction following a finding that its patent is infringed. In eBay v. MercExchange, 2006 U.S. Lexis 3872, issued Monday, May 15, 2006, the Court unanimously held that, rather than applying an "automatic" injunction rule, courts must apply the traditional four-factor test when considering whether to award permanent injunctive relief to a prevailing plaintiff. That test requires a plaintiff to demonstrate that: (1) it has suffered an irreparable injury; (2) remedies available at law are inadequate to compensate for that injury; (3) a remedy in equity is warranted in light of the balance of hardships between the plaintiff and the defendant; and (4) the public interest would not be disserved by a permanent injunction. Divergent views expressed in concurring opinions, however, suggest that it may be some time before it is clear whether this decision will represent a real change in the ability of prevailing patentee-plaintiffs to obtain permanent injunctions.

The Court's short and narrowly-tailored opinion contained critical words for both lower courts: "Neither the District Court nor the Court of Appeals below fairly applied . . . traditional equitable principles in deciding respondent's motion for a permanent injunction." The District Court had refused to issue a permanent injunction, though eBay was found willfully to infringe MercExchange's valid patent. The District Court did not believe a permanent injunction was appropriate because MercExchange did not practice its patent, MercExchange was willing to license the patent, the patent was for a business method (which the court viewed as suspect patent subject matter), and there would be difficulties in enforcing an injunction. The Court of Appeals for the Federal Circuit rejected the District Court's analysis, concluding that as a "general rule . . . courts will issue permanent injunctions against patent infringement absent exceptional circumstances."

The Supreme Court reversed the Federal Circuit, finding that it erred by "articulat[ing] a 'general rule,' unique to patent disputes, 'that a permanent injunction will issue once infringement and validity have been adjudged.'" The Supreme Court grounded its decision in the express wording of the Patent Act, which provides that injunctions "may" issue "in accordance with the principles of equity." 35 U.S.C. § 283. Justice Thomas, writing for the Court, found nothing in the Patent Act to suggest that Congress intended a departure from the traditional four-factor test, and steered the treatment of patents into line with that of copyrights, where the Court has consistently refused to adopt the view that an injunction automatically follows from a finding of copyright infringement. The Court emphasized that while the Patent Act conveys to a patent owner the "right to exclude" others from making, using, offering for sale, or selling the invention, this fact does not justify a general rule in favor of permanent injunctive relief because the "creation of a right is distinct from the provision of remedies for violations of that right."

The Court likewise dismissed the District Court's approach, which it characterized as "appear[ing] to adopt certain expansive principles suggesting that injunctive relief could not issue in a broad swath of cases." The Court noted that the District Court had relied upon the plaintiff's willingness to license its patents and failure to practice the patent as sufficient to establish that the patent holder would not suffer irreparable harm if an injunction did not issue. The Supreme Court held that "traditional equitable principles do not permit such broad classifications."

[S]ome patent holders, such as university researchers or self made inventors, might reasonably prefer to license their patents, rather than undertake efforts to secure the financing necessary to bring their works to market themselves. Such patent holders may be able to satisfy the traditional four factor test, and we see no basis for categorically denying them the opportunity to do so.

The Court concluded that "the decision whether to grant or deny injunctive relief rests within the equitable discretion of the district courts, and that such discretion must be exercised consistent with traditional principles of equity, in patent disputes no less than in other cases governed by such standards."

The Supreme Court's decision had been widely awaited in the electronic and software industries, which had complained that the Federal Circuit's automatic injunction rule gave unfair and unnecessary leverage to companies that were solely in the business of enforcing patents (so called "patent trolls" or "non-practicing entities"). Similarly, those entities with concerns about the scope of patentable subject matter were hopeful for a ruling rejecting the automatic injunction rule and explicitly permitting the lower courts to consider the nature of the patent in determining whether to issue an injunction. Conversely, the pharmaceutical and biotechnology industries were supportive of an automatic injunction as these groups rely heavily on the patent right to exclude others to protect costly innovations. Universities had feared that any decision aimed at limiting the rights of non-practicing patentees might have a negative impact on the value of their portfolios.

The Court's narrow opinion failed to provide a clear victory to any group; however, the concurring opinions provide a glimpse into the Court's view on the issues of interest to industry and reveal uncertainty over the extent to which injunctions will be granted in the future.

Chief Justice Roberts's concurring opinion, joined by Justices Scalia and Ginsburg, suggests that he believes little will change as a result of the ruling. He noted that courts have historically found permanent injunctions appropriate in patent law because of "the difficulty of protecting a right to exclude through monetary remedies that allow an infringer to use an invention against the patentee's wishes - a difficulty that often implicates the first two factors of the traditional four-factor test." When district courts apply the four-factor test, he concluded, they should not ignore this history and act as if they were "writing on an entirely clean slate."

Justice Kennedy, joined by Justices Stevens, Souter, and Breyer, appears to take a different view. Justice Kennedy noted that "[t]he lesson of the historical practice" of granting permanent injunction against most patent infringers "is most helpful and instructive when the circumstances of a case bear substantial parallels to litigation the courts have confronted before." However, both the "nature of the patent" and the "economic function of the patent holder" now before the courts "in many instances" are "quite unlike earlier cases." Justice Kennedy observed that for non-practicing entities that use patents primarily for obtaining licensing fees and that seek injunctions as a bargaining tool, "legal damages may well be sufficient to compensate for the infringement and an injunction may not serve the public interest." Furthermore, he observed that district courts may consider, in applying the four-factor test, the "potential vagueness and suspect validity" of some "patents over business methods, which were not of much economic and legal significance in earlier times." Parting with the Chief Justice, Justice Kennedy concluded that "it should be recognized that district courts must determine whether past practice fits the circumstances of the cases before them."

The long-term impact of the Court's decision is difficult to predict. If Chief Justice Roberts's admonition that "a page of history is worth a volume of logic" is followed, then it is likely that courts will adhere to their past practice of granting permanent injunctions "in the vast majority of patent cases." On the other hand, if the reasoning of Justice Kennedy's concurrence is adopted by lower courts, then non-practicing entities may face a higher hurdle in getting a permanent injunction, which could also push down the cost of pre-trial settlements.

* * *

Michael Carlson is a partner in Morrison & Foerster's San Francisco office. His practice emphasizes patent litigation. Will Fitton is an associate in the San Francisco who also specializes in patent litigation.

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