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2006. 11.01

製品回収の苦痛の緩和:米国消費者製品安全委員会の「ファストトラック」プログラム

はじめに

最近の報告によると、日本政府は、2009年までに、消費者製品の欠陥に関連する事故の報告を監視監督する政府機関を新たに設置する計画です。この機関は、米国消費者製品安全委員会(「CPSC」)に倣うものであると予想されます。この3ヵ月間に、CPSCは、家庭用電化製品史上で最大の製品回収となった、ソニー等の製造業者による約1千万台のノート型パソコン用リチウムイオン電池の回収の中心的存在でした。

本文では、あまり知られていないものの頻繁に利用されるCPSCのプログラム、すなわち、CPSCによる調査および製品欠陥問題の予備的認定のリスクなしに、製造業者が製品回収を迅速に実施できるようにするためのプログラムについて検討します。製造業者は、CPSCによる調査を危惧して製品の欠陥の可能性について報告することを躊躇する場合があります。また、CPSCによる実質的な製品の危険性の予備認定は、その後の訴訟において製造業者にとっての弊害となる可能性があります。ファストトラック・プログラムは、このような阻害要因を取り除くことにより、製造業者とCPSCの双方にとって有益なものとなりました。ソニーが先日、ファストトラック・プログラムの規則に基づいて手続を進めると決定したことは、少なくとも一部が米国で販売されている消費者製品の回収を実施するという難題に直面した日本の製造業者にとって、このプログラムが重要であることを証明するものです。

A. 「実質的な製品の危険性」の報告義務

CPSC規則の下で、製造業者、販売業者および小売業者は、「実質的な製品の危険性を生み出す虞のある欠陥を含む」製品、「重大な身体欠損または死亡の不当なリスクを生み出す」製品、またはCPSCの安全に関する規則または基準に適合しない製品を報告する義務があります。米国法典第15編第2064条(b)項。報告義務は、消費者からのクレーム、保証範囲内の返品、保険金請求、訴訟その他からの情報を端緒として発生する可能性があります。米国外で販売される製品に関する情報は、当該情報が米国内で販売される製品の性能に関係するものであれば、報告義務の一因となる可能性があります。連邦規則集第16編第1115.12条(f)項。

特定の状況において報告義務があるかの判断においては、「欠陥の傾向、商業的に流通している欠陥製品の数量、リスクの重大度」、その他「一般消費者に身体欠損を及ぼす相当なリスク」があるかという点に関する事実を含む、複数の要素を慎重に検討しなければなりません。米国法典第15編第2064条(a)項;連邦規則集第16編第1115.12条(f)項。CPSCの解釈規則において、身体欠損の可能性が高く、重度のものであれば、「欠陥製品が 1 個だけであったとしても」、実質的な製品の危険性の根拠となりうると規定する一方で、「重度の身体欠損を引き起こす可能性がなく、軽微な身体欠損の可能性もほとんどない欠陥製品が少数ある場合は、通常、実質的な製品の危険性を判断するための妥当な根拠とはならない。」とも規定しています。連邦規則集第16編第1115.12条(g)項(1)号(ii)。

CPSC に対する予備報告は、「初期報告書」を提出することによって行われます。この報告書には、以下を含む複数の事項を記載しなければなりません。

  • 製品の説明
  • 可能性のある製品欠陥の性質および程度または重大な身体欠損または死亡の不当なリスク
  • 製品に起因する身体欠損またはその可能性の性質および程度

連邦規則集第16編第1115.13条(c)項。

CPSC規則は一般に、端緒情報を会社が受領してから24時間以内と定義される「即時報告」を要求しています。連邦規則集第16編第1115.14条(e)項。しかしながら、当該規則では、実質的な製品の危険性が存在するかを判断するために、会社が調査を実施する必要があることを企図しており、その場合には、最大10日間の調査期間を認めています。ただし、会社が同期限の延長の必要性を証明できる場合はこの限りではありません。連邦規則集第16編第1115.14条(d)項。CPSCは、会社が実質的な製品の危険性の存在に疑いを持っている場合であっても、報告を行うことを奨励しています。連邦規則集第16編第1115.14 条(d)項。よって、報告を行う会社は、実質的な製品の危険性が存在することを認めたものとはみなされず、実際、報告時に製品の欠陥の存在を明確に否定する場合もあります。同上 。

初期報告書に対するCPSCの反応により、会社は、追加情報を盛り込んだ「詳細報告書」を要求される場合があります。連邦規則集第16編第1115.13条(d)項。詳細報告書に要求される追加情報には、以下の情報を含みます。

  • 欠陥、不適合またはリスクに関する情報(クレーム、身体欠損の報告、品質管理テスト等)の入手方法および入手時期
  • 欠陥修正のために実施したか、実施する予定の変更(設計、調整、ならびに追加の部品、品質管理およびテスト等)の説明
  • 消費者を含む購入者に対して提供したか、提供する予定の欠陥に関する情報、ならびに当該情報の提供方法に関する説明
  • 返金、交換または修正措置を予定している場合は、そのスケジュールの詳細

同上 。

CPSC 担当者は、初期報告書または詳細報告書を受領すると、実質的な製品の危険性の存在の予備的判断を行うため、調査または評価を行います。欠陥を確認し、実質的な製品の危険性の存在を判断するため、 CPSC 担当者は製品の技術評価を広範に行わなければならないことが多いため、かかる調査または評価は何ヵ月にも及ぶことがあります。 CPSC が実質的な製品の危険性を予備的に判断した事例のいくつかにおいては、その認定が、その後の製造物責任訴訟において被告人である会社に不利に利用されました。

B. ファストトラック製品回収プログラム

CPSCは、1997年、上記のようにやりとりが多く、多大な時間を要する手続に代わる手段として、ファストトラック製品回収プログラムを採用しました。CPSCの説明によると、ファストトラック・プログラムは、「スタッフ資源をより効率的に活用し、より迅速な製品回収を促進するため」に導入されました。「さらに、委員会は、報告を行い、是正措置を講じたいと考える一方で、CPSC担当者による予備的判断の影響を恐れる会社にとっての阻害要因を低減させたい」とも説明しています。連邦官報62巻39,827頁(1997年)

ファストトラック・プログラムに参加するためには、会社は、詳細報告書(初期報告書は省略)を提出するとともに、その報告書提出から20営業日以内に是正措置計画案(記者発表文を含む)を提出します。連邦官報62巻39,827-28頁(1997年)。是正措置計画には、回収計画案の説明および消費者に対する通知案のほか、是正措置計画案が妥当なものであるかをCPSCが評価できるような製品設計、事故およびテストに関する情報を含まなければなりません。参加会社はCPSCに対する最初の報告書において、是正措置を実施することに同意することから、会社およびCPSCは、製品上の欠陥が実際に存在するかという問題を解決しないままに、直ちに是正措置を開始することができます。

是正措置計画の策定にあたり会社を支援するため、CPSCは、製品回収ハンドブックのほか、CPSCが承認できるとみなす記者発表文および通知の案文を含むファストトラック・プログラムに関する具体的かつ詳細な説明書を交付しました。これらの資料は、 www.cpsc.gov/businfo/8002.html および www.cpsc.gov/businfo/fasttrak.pdf のサイトにて入手することができます。

ファストトラック・プログラムには、従来の行政手続と比較し、以下の際立った利点があります。

  • 会社のコントロール 提出会社は、CPSCの定める指針に適合し、従来の手続よりも迅速に当該プログラムを実行するための、自己の是正措置計画を策定することができます。是正措置の実施に自発的に同意することで、会社はおそらく、是正措置計画の条件および枠組についてCPSCからより多大な協力を得られるでしょう。
  • 「実質的な製品の危険性」の判断の不在 CPSCは、詳細報告書を検討した上で、是正措置計画を承認し、または修正を提案します。CPSCは「実質的な製品の危険性」の存在について判断しないため、ネガティブな追加報道の可能性が抑えられます。
  • 訴訟リスクの軽減 実質的な製品の危険性の判断その他CPSCによる認定は、しばしば製造物責任訴訟の提起を促す可能性があります。ファストトラック・プログラムに参加することにより、かかる認定を回避します。また、製品回収プログラムへの参加は、将来の訴訟から法律上全面的に免除するものではありませんが、CPSCの行政上の支援を受けた製品回収によって問題を是正しようとした会社の努力は、将来訴訟にさらされる脅威を緩和する上で有益となる可能性があります。

結論

製品回収を実施するか、実施するとすればいつ実施するかについての判断は、決して容易なものではありません。製品回収の費用は、相当の金額となる場合があり、社会的信用も著しく損なわれます。また、製品の性能に関する予備的なまたは個別の報告に対して過剰に反応しないことと、安全性の問題が悪循環に陥る前に先手を取ることとの間でのジレンマがよく起こることは理解できます。会社が米国において、CPSCに対する報告対象の製品欠陥に直面した場合、製品回収が不可避であるとすでに判断していれば、ファストトラック・プログラムへの参加を十分に検討するべきです。当該プログラムに参加することは、将来の訴訟リスクを緩和する一方で、 CPSC との関係で会社が負う事務的負担を最終的に軽減し、製品回収に係るCPSCの公的な支援を得られるという利点をもたらす可能性があります。製品回収プログラムの公表および実施が迅速であるほど、会社はより早期に、本来の事業目的に再び集中することができます。


Reducing The Pain of a Product Recall: The "Fast Track" Program of the U.S. Consumer Product Safety Commission

Introduction

According to recent reports, Japan plans to establish by 2009 a new government agency to monitor and police reports of accidents linked to consumer product defects. The agency is expected to be modeled in part after the U.S. Consumer Product Safety Commission ("CPSC"). In the last 3 months, the CPSC has been at the center of the largest product recall in the history of consumer electronics -- the recall by Sony and other manufacturers of nearly 10 million lithium-ion batteries used in notebook computers.

This client alert examines a quiet, but frequently used, program of the CPSC that allows manufacturers to quickly implement a product recall without the risk of a CPSC investigation and preliminary finding on the question of a product defect. The threat of a CPSC investigation can dissuade manufacturers from reporting possible product defects, and a CPSC preliminary finding of a substantial product hazard has sometimes been harmful to manufacturers in subsequent litigation. By removing these disincentives, the Fast Track program has proven to be of benefit to both manufacturers and the CPSC. Sony's recent decision to proceed under the rules of the Fast Track program demonstrates the importance of the program to Japanese manufacturers faced with the difficult task of initiating a product recall that involves consumer products sold, at least in part, in the United States .

A. The Obligation To Report "Substantial Product Hazards"

Under the CPSC's regulations, manufacturers, distributors and retailers are required to report a product that "contains a defect which could create a substantial product hazard," that "creates [an] unreasonable risk of serious injury or death," or that fails to comply with certain CPSC safety rules or standards. 15 U.S.C. § 2064(b). A reporting obligation can be triggered by information from consumer complaints, warranty returns, insurance claims, lawsuits, or other sources. Information regarding products sold outside the U.S. can also trigger a reporting obligation if that information is relevant to the performance of products sold within the U.S. 16 C.F.R. § 1115.12(f).

Determining whether a reporting obligation exists in a specific situation requires careful consideration of multiple factors including "the pattern of defect, the number of defective products distributed in commerce, the severity of risk," and other facts that bear on whether there is a "substantial risk of injury to the public." 15 U.S.C. § 2064(a); 16 C.F.R. §1115.12(f). While the CPSC's interpretive regulations state that "even one defective product" can provide the basis for a substantial product hazard if the injury is likely and severe, they also state that "a few defective products with no potential for causing serious injury and little likelihood of injuring even in a minor way will not ordinarily provide a proper basis for a substantial product hazard determination." 16 C.F.R. § 1115.12(g)(1)(ii).

Preliminary reporting to the CPSC is done through the submission of an "Initial Report," which must contain several categories of information, including the following:

  • Description of the product.
  • Nature and extent of the possible product defect or unreasonable risk of serious injury or death.
  • Nature and extent of injury or possible injury associated with the product.

16 C.F.R. § 1115.13(c).

The CPSC regulations generally call for "immediate reporting," which is defined as being within 24 hours of a company's receipt of triggering information. 16 C.F.R. § 1115.14(e). However, the regulations contemplate that companies may need to conduct investigations to determine if a substantial product hazard exists, in which case the regulations set an outside limit of ten days to investigate unless the company can demonstrate that additional time is needed. 16 C.F.R. § 1115.14(d). The CPSC encourages reporting even in instances when a company has some doubt as to whether a substantial product hazard exists. 16 C.F.R. § 1115.12(a). As such, reporting companies are not deemed to admit the existence of a substantial product hazard and indeed may specifically deny that a product defect exists when reporting. Id .

Depending upon the CPSC's response to the Initial Report, a "Full Report" with yet additional information may be required from a company. 16 C.F.R. § 1115.13(d). Among the types of additional information that may be required in a Full Report are the following:

  • The manner in which and the date when the information about the defect, noncompliance, or risk (e.g., complaints, reported injuries, quality control testing) was obtained.
  • An explanation of any changes (e.g., designs, adjustments, and additional parts, quality control, testing) that have been or will be effected to correct the defect.
  • Information that has been or will be given to purchasers, including consumers, about the defect along with a description of how this information has been or will be communicated.
  • The details of and schedule for any contemplated refund, replacement, or repair actions.

Id.

Upon receipt of either an Initial Report or Full Report, the CPSC staff will conduct an investigation and/or evaluation to make a preliminary determination as to whether a substantial product hazard exists. This process can take months because CPSC staff often must conduct extensive technical evaluation of the product to identify any defect and to determine if a substantial product hazard exists. In some situations when the CPSC reached a preliminary determination of a substantial product hazard, such findings were used against corporate defendants in subsequent product liability litigation.

B. The Fast Track Product Recall Program

In 1997, the CPSC adopted a Fast Track Product Recall Program as an alternative to the time-consuming back-and-forth process described above. As the CPSC explained, the Fast Track program was initiated "to use staff resources more efficiently and to promote quicker recalls. In addition, the Commission hoped to reduce any disincentives to companies that want to report and undertake corrective action, but fear the consequences of a staff preliminary determination." 62 Fed.Reg. 39,827 (1997).

To participate in the Fast Track program, a company submits a Full Report (bypassing the Initial Report) and a proposed corrective action plan, including press statements, within 20 working days of submission of that report. Id. at 39,827-28. The corrective action plan must include a description of the proposed recall action, the proposed notice to consumers, and product design, incident, and testing information that will allow the CPSC to assess whether the proposed corrective action plan is adequate. Because a participating company agrees to implement corrective action in its first report to the CPSC, the company and agency can begin working on corrective action immediately without resolving the question of whether a product defect, in fact, exists.

To assist companies in designing their corrective action plan, the CPSC has issued a Recall Handbook as well as specific detailed instructions on the Fast Track program, including draft press statements and notifications that the CPSC deems acceptable. These materials can be found on-line at www.cpsc.gov/businfo/8002.html and at www.cpsc.gov/businfo/fasttrak.pdf .

The Fast Track program offers the following distinct advantages over the traditional regulatory procedure:

  • Company control. The submitting company can design its own corrective action plan to conform with established CPSC guidance and implement this program faster than in the traditional process. By voluntarily agreeing to undertake corrective action, the company may very well encounter greater cooperation from the CPSC on the terms and design of the corrective action plan.
  • No "substantial product hazard" determination. The CPSC will review the Full Report and either accept or suggest revisions to the corrective action plan. No CPSC determinations regarding the presence of a "substantial product hazard" will be made, which reduces the likelihood of additional negative press.
  • Mitigation of litigation risk. A substantial product hazard determination or other CPSC finding can often drive product liability litigation. Participation in the Fast Track program avoids any such findings. Also, while participation in a recall program may not provide complete legal immunity to future litigation, a company's efforts to remedy a problem through a recall that has the CPSC's administrative blessing can help mitigate future litigation exposure.

Conclusion

Deciding whether and when to implement a product recall is never an easy decision. The costs of a recall can be substantial and the public relations fallout significant. Moreover, there is often an understandable tension between not overreacting to preliminary or isolated product performance reports, on one hand, and getting ahead of safety problems before they spiral even further, on the other. Once a company encounters a product defect in the U.S. that requires reporting to the CPSC, careful consideration should be given to participation in the Fast Track program if it is already believed that a recall is inevitable. Participation can ultimately lighten a company's administrative burden with the CPSC and offer the advantages of obtaining the CPSC's public blessing of the recall while mitigating certain future litigation risks. The quicker a recall program is announced and implemented, the sooner a company can turn its attention back to core business objectives.

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