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2009. 05.29

テキサス州東部地区連邦地方裁判所での特許訴訟の判決後、陪審認定の実施料率が4倍に引き上げられる

Tokyo Litigation Client Bulletin

東京訴訟部
マックス・オルソン  マーク・ダーニー  クレイグ I. セルニカ  ピーター J. スターン  ルイーズ・ストゥープ  一色 太郎  
ダニエル P. レヴィソン  ジャック・ロンデン


PDF版は こちら
Please click here for English version.

 

(参考訳)

執筆者 エリック・ウォルター

テキサス州東部地区連邦地方裁判所のフォルサム判事は、eBay, Inc. v. MercExchange, LLC, 126 S. Ct. 1837 (2006)における最高裁判所の判決後に起きた特許訴訟における判決後の救済措置にかかる所説のうち最新のものを公表したところである。多くの注目を集めそうな意見において、裁判所は、過去の損害賠償に関して陪審が認定した金額の約4倍の実施料率(すなわち、販売台数1台あたり25ドルに対し、98ドル)に基づいて判決後の損害賠償額を認定した。Paice LLC v. Toyota Motor Corp., No. 2:04-CV-211 (E.D. Tex. April 17, 2009)。 いくつかの要因が本件を事実上ユニークなものとしているかもしれない。また、この判決は連邦巡回控訴裁判所の審理をまだ受けていない。しかしながら、判決後に著しく引き上げられた実施料率は、確実に知的財産分野で多数の意見を呼び、注目されるであろう。

eBay事件以来、特許訴訟における差止命令による救済は、差止命令を認定するための伝統的なエクイティ上の基準が満たされた場合に限り認められている。実際、例外が稀にあるものの、現在、差止命令は特許を実施していない企業に対しては事実上認められていない。よって、多くの訴訟の争点は、差止命令に代わり、ライセンスに関する判決後の実施料率の計算方法に移行している。

地方裁判所における先の訴訟では、ペイス社に有利な陪審評決後、フォルサム判事は、判決後の実施料率について、陪審が損害賠償認定に使用したものと同じ実施料率(1台あたり25ドル)を適用した。ペイス社はこれに控訴した。控訴審において、巡回控訴裁判所は、地方裁判所が、その実施料が適切である理由を説明せずに、陪審が認定したものと同じ実施料率を現行の実施料率として両当事者に自発的に課すという誤った判断を下したと判示し、原判決を覆した。Paice LLC v. Toyota Motor Corp.,504 F.3d 1293, 1315 (Fed. Cir. 2007), cert. denied, 128 S. Ct. 2430 (2008)。本件は「地方裁判所に現行の実施料率を再評価させるという目的のみのために」原審に差し戻された。文献同上

巡回控訴裁判所は、差戻しにあたり、裁判所は決して単に陪審に判断を委ねるべきではないと明確に述べ、そのかわり、「現行実施料を課すことによって発生する追加的な経済的要因に関して必要な追加的証拠を考慮できる」とした。文献同上。また、両当事者は「独自で実施料率を交渉する」機会をおそらく与えられるが、そのような合意がなされない場合、裁判所は適切な場合において継続中の侵害行為に関する実施料率を認定しうると述べた。文献同上(1314-16)。

ペイス事件での巡回控訴裁判所の判決における多数意見は、判決後の実施料の料率決定に関する明示的な基準を示していない。但し、レイダー判事は彼の同意意見書において、「判決前と判決後の侵害行為は明らかに異なるため、両当事者の法的関係その他の要因を踏まえて異なる実施料率が適当である可能性がある」と述べた。文献同上(1317)Amado v. Microsoft Corp.,[1] 517 F.3d 1353, 1361-62 (Fed. Cir. 2008) 事件における巡回控訴裁判所の合議体は、以下のとおり説明し、この見解に同調している。

評決前の侵害行為に関する合理的な実施料と評決後の侵害行為に関する損害賠償額との間には、[中略]根本的な違いがある。判決前では、特許の有効性のほか、侵害行為に対する責任は明らかではなく、損害賠償額はその不確定性の文脈において判断される。しかしながら、有効性および侵害行為について判決が下されると、異なる経済的要因が関与してくるため、計算方法は明らかに異なる。文献同上(引用省略)

差戻審において、地方裁判所は、判決の前後で実施料率が異なる可能性があるという巡回控訴裁判所の示唆を取り上げ、これに従った。両当事者は、適切な枠組みを仮想交渉とし、交渉日を判決日である2006年8月とすることに合意した。裁判所は、差止命令は認められないと示し、したがって、「現行の故意侵害者に対して合理的な利益を得ることを認める一方で、これを排除する権利を放棄する特許権者を賠償する上で妥当な金額」について判断されるべき問題であるとした。

トヨタは、陪審による損害賠償認定は、分析の出発点として利用されるべきと提案した上で、先の仮想交渉日以降、ハイブリッドカーに関する利幅が減少したことを理由に、かかる損害賠償金額は減額されるべきであると主張した。裁判所はこの提案を拒絶した。裁判所は、陪審の損害賠償認定の論理的根拠が不明である上に、陪審に課された問題と現行の実施料率との間に、以下を含む著しい違いがあると述べた。

判決が下された場合、侵害を主張された者による継続する侵害行為は必然的に故意のものとなる。当該要因(増額の可能性を含め)、既判力の潜在的な影響および多数の追加的な事実上の要因によって、現行実施料を交渉する上での計算方法が著しく異なる。

裁判所は、このような状況において、「両当事者の法的関係の変化を考慮に入れないことは、ペイス社に対し明白に不公正」であり、「法的地位が変わることを考慮しないことは、すなわち、敗訴におけるマイナス面が実質的に存在しないということなので、特許侵害訴訟のすべての被告が当該訴訟で最後の最後まで争う動機となる」と理由付けした。さらに、「本件においては、現行の実施料率を定めることは、ペイス社が自己の技術を第三者にライセンスする能力に著しく影響を及ぼし、排他的ライセンス契約の締結を事実上不可能にするものであることに留意しなければならない」と説明した。また、ライセンス条件は両当事者にとって公正でなければならないが、「トヨタが侵害行為の継続を決定した侵害者と認定されたという事実は、決して無視できない」とした。

両当事者は2006年8月という時期は仮想交渉について適切であると合意したものの、フォルサム判事は、現行実施料率の設定において、将来的進展も考慮した。例えば、2008年の原油価格の高騰(その後下落したことも認めつつ)、一部のハイブリッドカーの売上高の増加、およびハイブリッドカーが一般消費者の間で「話題の的」となったという事実について言及した。また、2020年までに自動車の燃費基準が35 mpgまで引き上げられることを定めた2007年制定の法律についても言及した。

しかしながら、裁判所は、陪審の判断が完全に無視されるべきではないと述べた。ペイス社の専門家がその分析の中で、過去の損害賠償に関する陪審の判断を考慮しなかったという誤った判断をしているとして、陪審による低い実施料率の認定を基に(ハイブリッドカー以外の車両に対するハイブリッドカーの利幅の縮小に加えて)同裁判所が認定した実施料率を3分の1減額した。

ペイス社事件において判決後にライセンス実施料率が目立って引き上げられたことは確かに注目に値するが、この判決の長期的な意義は不透明である。地方裁判所は、実施料率の著しい差異の一因となった可能性がある本件特有のいくつかの要因について述べた。この要因には、陪審が当初に認定した損害賠償額が「低い」という考えや、強制的ライセンスがペイス社による特許の排他的ライセンス付与を妨げるという考えが含まれる。また、損害賠償の総額は比較的控えめ(4,269,950ドル)であるが、この金額は、実施料率がさらに高額でなければ、同様の立場にある当事者には、侵害行為を回避し、または訴訟を解決するための動機がないであろうと裁判所が考える一因となった可能性がある。実際、トヨタは、裁判所に対して実施料率の引下げを主張する中で、デザイン・アラウンド(回避設計)が可能であったが、実施しなかったと述べている。最後に、e-Bay事件後のテキサス州東部地区における最近の訴訟では、原告らは、損害賠償認定のほか、一部の場合においては故意認定について、別の訴訟で判断されることを求め、判決後の侵害行為に関する請求を分離することが多かった。これとは対照的に、ペイス事件では、現行の実施料が原審の一部として判断され、裁判所は、トヨタは必然的に判決後は故意侵害者となると判断した。

もちろん、この判決はまだ巡回控訴裁判所の審理を受けていない。トヨタが巡回控訴裁判所の審理前に、とりわけ2006年8月時点で、必然的に故意の侵害者であったという裁判所の判断が防御できるかどうかは、まだ分からない。しかしながら、巡回控訴裁判所は実施料率が判決の前後で異なり得ると判示しているため、判決後の実施料について地方裁判所の判断を巡回控訴裁判所が規制することは難しいであろう。その判断は、少なくとも地方裁判所へのさらなるガイダンスがなければ、数学的な正確さをもって下すことのできないものである。

[1] 当事務所は当該訴訟においてCarlos Armando Amadoを代理した。 


Jury's Royalty Rate Quadrupled After Judgment in Eastern District of Texas Patent Case

By Eric Walters

Judge Folsom of the Eastern District of Texas has just published the latest chapter in the story of post-judgment remedies in patent cases, after the Supreme Court decision in eBay, Inc. v. MercExchange, LLC, 126 S. Ct. 1837 (2006). In an opinion that is likely to garner much attention, the court awarded post-judgment damages using a royalty rate that was nearly quadruple that awarded by the jury for past damages ($98 per vehicle sold versus $25). Paice LLC v. Toyota Motor Corp., No. 2:04-CV-211 (E.D. Tex. April 17, 2009). Several factors may make this case factually unique, and the decision has not been subject to review by the Federal Circuit, but the significantly increased royalty rate awarded post-judgment will certainly make many in the IP world stand up and take notice. 

Since eBay, injunctive relief in patent cases has been available only if the traditional equitable standards for granting an injunction have been met. In practice, this has meant that, with rare exceptions, an injunction is now effectively unavailable for entities that do not practice the patent. As a result, the playing field for many cases is shifting to the method for calculating the post-judgment royalty rate for a license in lieu of an injunction.

In the earlier district court action, after a jury verdict in Paice's favor, Judge Folsom applied the same rate for the post-judgment royalty that the jury had used for its damages award ($25 per vehicle). Paice challenged that decision, and on appeal, the Federal Circuit reversed, holding that the district court committed error by sua sponte imposing on the parties as an ongoing royalty the same rate awarded by the jury, without any explanation as to why that rate was appropriate. Paice LLC v. Toyota Motor Corp.,504 F.3d 1293, 1315 (Fed. Cir. 2007), cert. denied, 128 S. Ct. 2430 (2008). The case was remanded "for the limited purpose of having the district court reevaluate the ongoing royalty rate." Id.

The Federal Circuit made clear that on remand the court should not simply defer to the jury, but instead that "the court may take additional evidence necessary to account for any additional economic factors arising out of the imposition of an ongoing royalty." Id. It also noted that parties presumably would be given the opportunity "to negotiate their own rate," but that in the absence of such an agreement, the court could award a royalty for ongoing infringement in appropriate circumstances. Id. at 1314-16.

The majority opinion in the Federal Circuit's Paice decision did not set forth an explicit standard for determining the amount of the post-judgment royalty. Judge Rader's concurrence, however, stated that "[p]re-suit and post-judgment acts of infringement are distinct, and may warrant different royalty rates given the change in the parties' legal relationship and other factors." Id. at 1317. This view was echoed by a panel of the Federal Circuit in Amado v. Microsoft Corp.,[1] 517 F.3d 1353, 1361-62 (Fed. Cir. 2008), which explained that:

There is a fundamental difference [] between a reasonable royalty for pre-verdict infringement and damages for post-verdict infringement. . . . Prior to judgment, liability for infringement as well as the validity of the patent, is uncertain, and damages are determined in the context of that uncertainty. Once a judgment of validity and infringement has been entered, however, the calculus is markedly different because different economic factors are involved. Id. (citations omitted).

On remand, the district court picked up the Federal Circuit's suggestion that post- and pre-judgment royalty rates may differ, and ran with it. The parties agreed that the appropriate framework was a hypothetical negotiation, and that the relevant date for the hypothetical negotiation was August 2006, the date judgment was entered. The court noted that an injunction was not available, and thus framed the question to be decided as "what amount of money would reasonably compensate a patentee for giving up his right to exclude yet allow an ongoing willful infringer to make a reasonable profit?"

Toyota proposed that the jury's damages award should be used as the starting point for the analysis, and then argued that it should be reduced downward as a result of declining profit margins for hybrid vehicles since the date of the earlier hypothetical negotiation. The court rejected this approach. According to the court, it was impossible to know the jury's rationale for arriving at its damages award. In addition, there were significant differences between the question posed to the jury and the ongoing royalty rate. These included that:

Once judgment is entered, ongoing infringement by the alleged infringer is necessarily willful; that factor, along with the potential for enhancement, the potential impact of res judicata, and many additional factual factors significantly change the ongoing royalty negotiation calculus.

The court reasoned that under these circumstances, "failing to take into account the change of legal relationship between the parties would be manifestly unjust to Paice" and "would create an incentive for every defendant to fight each patent infringement case to the bitter end because without consideration of the changed legal status, there is essentially no downside to losing." In addition, the court explained that it "must be mindful in this case that establishing an ongoing royalty rate has a significant impact on Paice's ability to license its technology to others and effectively precludes an exclusive licensing arrangement." And while the licensing terms must be fair to both parties," the fact that Toyota is an adjudged infringer who chooses to continue infringing simply cannot be ignored."

Although the parties had agreed that August 2006 was the appropriate date for the hypothetical negotiation, Judge Folsom also took into account later developments in establishing the ongoing royalty rate. For example, he cited "skyrocketing" oil prices during 2008 (while acknowledging they later declined), increases in sales of some hybrid vehicles, and the fact that hybrids have become a "hot topic" with the consuming public. The court also cited a 2007 law mandating that fleet gas mileage increase to 35 mpg by 2020.

The jury's award, however, should not be ignored entirely, according to the court. The court ruled that Paice's expert erred by failing to take into account the jury's award for past damages in his analysis and reduced the royalty rate it awarded by one-third based on the jury's lower royalty rate (in addition to the reduced profit margin for hybrid versus non-hybrid vehicles).

Although the Paice decision's eye-catching increase in license rates post-judgment is certainly worthy of note, the long-term significance of the opinion is unclear. The district court noted several case-specific factors that may have contributed to the substantial difference in royalty rates, including its belief that the jury's original damages award was "low" and that a mandatory license would prevent Paice from exclusively licensing the patent. In addition, the total damages award was relatively modest ($4,269,950), which could have contributed to the court's belief that absent a more substantial royalty rate similarly situated parties would have no incentive to avoid infringement or to bring litigation to a close. Indeed, in attempting to persuade the court to reduce the royalty rate, Toyota had argued that a design-around was available, but did not implement it. Finally, in recent post-eBay cases in the Eastern District of Texas, plaintiffs have often severed claims for post-judgment infringement, asking that damages awards and in some cases willfulness determinations be adjudicated in separate actions. In Paice, in contrast, the ongoing royalty was decided as part of the original case, and the court determined that Toyota was necessarily a willful infringer after judgment was entered.

Of course, the decision has not been reviewed by the Federal Circuit. The defensibility of the court's determination that Toyota was necessarily a willful infringer, particularly as of August 2006, prior to the Federal Circuit's review, remains to be seen. Nonetheless, since the Federal Circuit has held that pre- and post-judgment royalty rates can differ, it will be difficult for it to police district courts' decisions regarding post-judgment royalties, which are impossible to arrive at with mathematical precision, at least without further guidance for the lower courts.

[1] Morrison & Foerster represented Carlos Armando Amado in this action.

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