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2011. 01.21

特許訴訟における損害賠償額専門家による実施料の決定にあたり「目安の25%ルール」の適用が不可能となる

マックス・オルソン  クレイグ I. セルニカ  ピーター J. スターン  ルイーズ・ストゥープ  一色 太郎  
ダニエル P. レヴィソン  ジャック・ロンデン  スティーブン E. コマー  矢倉 千栄


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(参考訳)

執筆者
エリック J. オルソン/コレット R. バークイル 

特許保有者および特許侵害者である企業は、特許保有者の発明を利用して得られた利益をどのように分配すべきか。この問題は、ほとんどの特許訴訟における損害賠償額を決定する「仮想交渉」の必要不可欠な一部である。損害賠償額専門家の多くは15年以上にわたり、この問題に関する結論の裏付けとして「25%の目安ルール」(「25 percent rule of thumb」)を適用してきた。2011年1月4日、連邦巡回控訴裁はこのルールに終止符を打った。

「本廷はここに、連邦巡回控訴裁法の判例法として、25%ルールが、仮想交渉での基準実施料率の決定に係る手段として根本的に欠陥があると判断する。したがって、25%ルールに依拠する証拠は、合理的な実施料ベースと争点となっている事案の事実関係とを関連付けるものではないため、ダウバート基準および連邦証拠規則に基づき証拠として認められない。」(Uniloc USA v. Microsoft Corp.、判例速報41ページ(2011年1月4日))http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/10-1035.pdf

連邦巡回控訴裁の意見は法的責任および損害賠償に関するその他多くの問題に取り組んだものであったが、上記の判断に関してユニロック判決は確実に記憶に留まることとなるであろう。連邦巡回控訴裁は、25%ルールを退けるにあたり、特許事件で陪審員が下した高額損害賠償評決に歯止めをかけようとする近時の他の判決を支持した。産業界の多くは25%ルールが損害賠償額を恣意的に押し上げたと考えているため、連邦巡回控訴裁の判断を称賛する可能性が高い。にもかかわらず、当該意見はこの「ルール」を、侵害者が得た利益を分配する方法に関する新たな規則と差し替えないまま、その利用を廃止するものであるため、陪審が下す賠償額が同判決によって増減するか、または全く影響を受けないかは、時間の経過とさらなる陪審判断によってのみ明らかとなる。

控訴審判決を求めた本件では、ユニロックが、米国特許番号第5,490,216号(ソフトウェアのカジュアルコピーの防止方法に関する特許)を侵害しているとしてロードアイランド州連邦地方裁判所においてマイクロソフトを提訴した。ユニロックは、マイクロソフトのWord XP、Word 2003およびWindows XPのソフトウェアアクティベーション機能が‘216特許を侵害していると訴えた。トライアルにおいて陪審は、ユニロックの特許は有効であり、かつマイクロソフトによって故意に侵害されていると判断し、同社に対して3億8,800万ドルの損害賠償金の支払いを命じた。トライアル後、連邦地裁は、「‘216特許は侵害されておらず故意侵害はなかった」とする判決またはこれらの争点について新たなトライアルを求める、マイクロソフトの陪審判決後申立てを認めた。また、損害賠償額について新たなトライアルで争うことを命じた。しかし、‘216特許が無効であるとする判決を求めるマイクロソフトの陪審判決後申立ては退けた。控訴審において連邦巡回控訴裁は、連邦地裁による侵害認定を覆し、特許の有効性と侵害を認めた陪審評決を支持した。一方で連邦巡回控訴裁は、賠償金額の適切な決定方法を新たなトライアルで判断すべきであることに同意した。

連邦巡回控訴裁はその意見の中で、ユニロックの損害賠償額専門家が25%ルールに依拠していることを理由に、新たな損害賠償請求のトライアルが必要であるとした。侵害に関して特許権所有者に補償するに十分で合理的な実施料額を判断するにあたり、損害賠償額専門家は一般に、当事者らが交渉したであろう実施料を導き出すための「仮想交渉」を実施する。ここでユニロックの損害賠償額専門家は、典型的な特許権保有者が侵害製品における発明の使用によって生じた予想利益の25%に相当する実施料を期待できるという前提から分析を開始した。これを基準値として、ユニロックの損害賠償額専門家はGeorgia-Pacific Corp. v. U.S. Plywood Corp., 318 F. Supp. 1116(ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所1970年)で定められた15の要因に基づき実施料を増減すべきかを評価した。ユニロックの専門家は、許諾製品1個あたり2.50ドルの基準実施料が妥当であると結論付け、この料率をWindows許諾製品225,978,721個に適用し、損害賠償金の請求総額564,946,803ドルを得た。陪審は請求額の69%を認定した。

25%ルールの適用が適切であったかを検討するにあたり、連邦巡回控訴裁は同ルールを適用した過去の事案のほか、同ルールを参照した法律および経済分野の研究も分析した。裁判所は、過去の判決では少なくとも1977年以降、同ルールの適用を受動的に容認してきたことを認めた。それにもかかわらず、連邦巡回控訴裁は真正面から問題に取り組み、ユニロックの専門家の出発点は間違っていたと判断した。「25%ルールは、仮想交渉での基準実施料率を決定する手段として根本的に欠陥がある。」(判例速報41ページ)連邦巡回控訴裁は、損害賠償額の分析において過去のライセンス契約を使用することに関する近時の他の判決を支持し、損害賠償額として認定されるべき合理的な実施料の計算において専門家が用いる方法を正当化するために、事案特定の証拠が重要であることを強調した。「これらの判決の意義は明確である。過去のライセンスで使用された実施料と本件で争点となっている特定の仮想交渉とを関係付ける実際の根拠がなければならない。抽象的かつ著しく理論的な概念としての25%ルールは、この基本的な要件を充足しない。」(判例速報45ページ)専門家は、「本件の事実関係とは無関係の恣意的かつ一般的な規則として25%ルール」を不適切に用いた。(判例速報47ページ)

ユニロックはGeorgia-Pacific分析を指摘することで専門家による同ルールの適用を弁護しようとしたが、失敗に終わった。巡回控訴裁は、「実施料を増減させるためにGeorgia-Pacific要因がその後適用される出発点としてのみ、25%ルールが提示されたことは重要ではない。根本的に欠陥のある前提から開始し、本件の事実関係に特有の適正な検討に基づきその前提を調整しても、やはり根本的に欠陥のある結論が導かれる」と述べている。(判例速報46ページ)連邦地裁は今後、25%ルールの適用を裏付ける事案特有の具体的な事実関係がない限り、25%ルールに基づく証拠が陪審に提出されることを防止する門番的な機能を果たさなければならない。

また、連邦巡回控訴裁の意見は、特許の損害賠償額の判断において同様に注目されている全体市場価値ルール(「entire market value rule」)についても取り上げている。ユニロックの専門家は、ユニロックの損害賠償額理論の正当性の立証として、損害賠償の請求総額とマイクロソフトが侵害品ソフトウェアから得た収入総額(約190億ドル)を比較して「チェック」したと証言している。この比較は、損害賠償の請求金額が、侵害品からの収入のわずか2.9%であるため、少額であるような印象を与える。しかし、これが問題であった。連邦巡回控訴裁は、主張対象特許が侵害被疑製品の需要を喚起しない場合、製品の全体市場価値を参照することは不適切であるとする連邦地裁の意見に同意した。連邦巡回控訴裁は、ユニロックが「顧客はプロダクトアクティベーション機能が欲しくてOfficeやWindowsを購入するのではない」と認めたことを指摘し(判例速報49ページ)、ユニロックは、専門家が収入を計算根拠としてではなく「チェック」として用いたことだけを理由にこの認識の影響を回避することはできないとした。

連邦巡回控訴裁の判決により、マクロソフトが侵害に対してユニロックに支払う損害賠償金を減免する機会が改めてもたらされた。25%ルールと全体市場価値ルールを組み合わせた裁判所の判断は、最終的な認定額を減免させる可能性があるようにも見受けられる。しかし、これは一般には何を意味するのであろうか。

答えは明らかではない。今後、十分に知識のある弁護士または専門家は、専門家報告書や証言の中で25%ルールに言及または依拠しなくなる。では、専門家は発明の使用から得た利益をどのように分割するのか。裁判所の意見は、発明の価値およびその経済的利益のほか、技術の進歩から得られる経済的利益を分割するために関係当事者または業界第三者によって用いられた基準に関する事案ごとの証拠の重要性を強く指摘している。証拠によっては、特許保有者およびその専門家は、分割が25%超、25%弱またはぴったり25%であるべきと主張できる。あるいは、まったく異なる分析方法を用いるかもしれない。新たな評価基準が裁判所の合格レベルに達するか、または陪審がその評価基準を採用するかは、時間がたてば明らかとなるであろう。差し当たり連邦巡回控訴裁は、これまで適用されていた25%ルールを法律のごみの山に押しのけて撤廃した。

著者連絡先:

エリック J. オルソン
+1 (650) 813-5825
ejolson@mofo.com
      コレット R. バークイル
+1(650) 813-5990
cverkuil@mofo.com

本稿は一般的なもので、ここに含まれる情報はあらゆる事案に適用されるものではなく、また個別の事案に対する具体的な法的アドバイスを提供するものでもありません。


Damages Experts in Patent Cases Can No Longer Use the "25 Percent Rule of Thumb" to Determine Royalty Rates

By Erik J. Olson and Colette R. Verkuil

How should a patent holder and a company that infringes a patent divide the profits obtained by use of the patent holder's invention? This question forms a vital part of the "hypothetical negotiation" that determines the damages that are awarded in most patent cases. For at least 15 years, many damages experts have employed the "25 percent rule of thumb" to support their conclusions on this question. On January 4, 2011, the Federal Circuit put an end to this process:

"This court now holds as a matter of Federal Circuit law that the 25 percent rule of thumb is a fundamentally flawed tool for determining a baseline royalty rate in a hypothetical negotiation. Evidence relying on the 25 percent rule of thumb is thus inadmissible under Daubert and the Federal Rules of Evidence, because it fails to tie a reasonable royalty base to the facts of the case at issue." (Uniloc USA v. Microsoft Corp., slip op. at 41 (Jan. 4, 2011)).
http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/10-1035.pdf

While the Federal Circuit's opinion addressed a number of other liability and damages issues, Uniloc will certainly be remembered for the ruling quoted above. In its rejection of the 25 percent rule of thumb, the Federal Circuit echoed other recent decisions that have sought to rein in large damages verdicts awarded by juries in patent cases. Many in industry will likely applaud the Federal Circuit's decision because they believe that the 25 percent rule of thumb arbitrarily pushed damages awards higher. Nonetheless, because the opinion eliminates the use of this "rule of thumb" without replacing it with a new rule on how to split the profits earned by an infringer, only time and more verdicts will tell if the decision reduces, increases, or has no affect on the size of jury awards.

In the case that was on appeal, Uniloc sued Microsoft in the District of Rhode Island for infringing U.S. Patent No. 5,490,216, which patents a method designed to combat the casual copying of software. Uniloc accused a software activation feature for Microsoft's Word XP, Word 2003, and Windows XP of infringing the '216 patent. At trial, the jury found Uniloc's patent valid and willfully infringed by Microsoft and awarded Uniloc $388 million in damages. After the trial, the district court granted Microsoft's motion for judgment as a matter of law that the '216 patent was not infringed and that there was no willfulness, and in the alternative granted a new trial on these issues. The district court also ordered a new trial on damages. The district court denied Microsoft's motion for judgment of a matter of law that the '216 patent was invalid. On appeal, the Federal Circuit reversed the district court's holding regarding infringement, and reinstated the jury's verdict that the patent was valid and infringed. The Federal Circuit agreed, however, that there should be a new trial to determine the appropriate measure of damages.

In its opinion, the Federal Circuit stated that a new damages trial was necessary because of Uniloc's damages expert's reliance on the 25 percent rule of thumb. In determining the amount of the reasonable royalty sufficient to compensate a patentee for infringement, damages experts generally conduct a "hypothetical negotiation," which attempts to derive the royalty the parties would have negotiated. Here Uniloc's damages expert began his analysis from the premise that a typical patentee would be able to command a royalty equal to 25 percent of the expected profit generated by the use of the invention in the infringing product. From this baseline, Uniloc's damages expert then evaluated whether to increase or decrease the rate based on the 15 factors set forth in Georgia-Pacific Corp. v. U.S. Plywood Corp., 318 F. Supp. 1116 (S.D.N.Y. 1970). Uniloc's expert concluded that a baseline royalty rate of $2.50 per licensed product was the appropriate royalty. Applying this rate to the 225,978,721 Windows licensed products resulted in a total requested damages amount of $564,946,803. The jury awarded 69 percent of the requested amount.

In considering whether it was appropriate to use the 25 percent rule of thumb, the Federal Circuit analyzed prior cases that applied the rule as well as scholarship in the legal and economic fields that had referred to the rule. The court acknowledged that prior court decisions had passively tolerated the rule's use since at least 1977. Nonetheless, addressing the issue square-on, the Federal Circuit held that Uniloc's expert started in the wrong place. "[T]he 25 percent rule of thumb is a fundamentally flawed tool for determining a baseline royalty rate in a hypothetical negotiation." (Slip op. at 41.) The Federal Circuit echoed other recent decisions regarding the use of prior license agreements in damages analysis and emphasized the importance of case-specific evidence to justify an expert's methodology when calculating a reasonable royalty to be awarded as damages. "The meaning of these cases is clear: there must be a basis in fact to associate the royalty rates used in prior licenses to the particular hypothetical negotiation at issue in the case. The 25 percent rule of thumb as an abstract and largely theoretical construct fails to satisfy this fundamental requirement." (Slip op. at 45.) The expert improperly used "the 25% rule of thumb as an arbitrary, general rule, unrelated to the facts of this case." (Slip op. at 47.)

Uniloc's attempt to defend its expert's use of the rule by pointing to the Georgia-Pacific analysis was unsuccessful. The Federal Circuit wrote that it "is of no moment that the 25 percent rule of thumb is offered merely as a starting point to which the Georgia-Pacific factors are then applied to bring the rate up or down. Beginning from a fundamentally flawed premise and adjusting it based on legitimate considerations specific to the facts of the case nevertheless results in a fundamentally flawed conclusion." (Slip op. at 46.) From now on, the district courts must exercise their gate-keeping function to prevent evidence based on the 25 percent rule of thumb from going to the jury, unless there are concrete, case-specific facts that would support its application.

The Federal Circuit's opinion also addressed the entire market value rule, which has been another hot topic in the determination of patent damages. As a validation of Uniloc's damages theory, Uniloc's expert testified that he performed a "check" by comparing the total requested damages to the total revenues that Microsoft obtained from the licensed software (some $19 billion). This comparison made the requested damages appear small-only 2.9% of revenues from the infringing products. That, however, was the problem. The Federal Circuit agreed with the district court that reference to the entire market value of a product is inappropriate in cases where the asserted patent does not drive demand for the accused product. The Federal Circuit noted that Uniloc had conceded that "customers do not buy Office or Windows because of Product Activation." (Slip op. at 49.) Uniloc could not escape the affect of its concession just because its expert used the revenues as a "check" and not as the basis for his calculations.

The Federal Circuit's decision offers Microsoft a new opportunity to reduce the damages that it will pay Uniloc for its infringement. The Court's combined rulings on the 25 percent rule of thumb and the entire market value rule also seem likely to drive the ultimate award down. But what do they mean for everyone else?

The answer is unclear. From here on out, no well-informed lawyer or damages expert will make reference to or rely on the 25 percent rule of thumb in any expert report or testimony. How then will experts divide the profits obtained from use of an invention? The opinion points strongly to the importance of case-specific evidence regarding the value of the invention, its economic benefits and the standards used by the involved parties or by others in the industry to divide the economic benefits obtained from technological improvements. Depending on the evidence, patent holders and their experts may argue that the split should be more than, less than, or exactly 25 percent. Alternatively, they might use a wholly different method of analysis. Time will tell if the new metrics will pass muster with the courts or obtain traction with juries. In the meantime, the Federal Circuit has relegated the otherwise commonly applied 25 percent rule of thumb to the legal trash heap.

Contact:

Erik J. Olson
+1 (650) 813-5825
ejolson@mofo.com
     Colette R. Verkuil
+1 (650) 813-5990
cverkuil@mofo.com

Because of the generality of this update, the information provided herein may not be applicable in all situations and should not be acted upon without specific legal advice based on particular situations.

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