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2011. 05.16

海外腐敗行為防止法の遵守 「内部告発回避に向けて従業員の参加および協力を促進」

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(参考訳)

(著者) ルティ・スミスライン/ジャンカルロ・ユーリー

海外腐敗行為防止法(以下「FCPA」という。)は、事業の獲得または維持を目的とした外国公務員に対する支払いを禁じている[1]。同法は、米国法人および個人、米国証券取引所上場会社、米国企業の従業員および代理店、米国内で特定の禁止行為に従事する外国人および外国企業等に広く適用される。

先月行われた米国証券取引委員会(以下「SEC」という。)の年次カンファレンス「SEC Speaks」において、FCPAユニットのトップ、シェリル・スカボロ氏は、これまでにないほど多数のFCPA活動(2008年および2009年を合わせた合計件数を上回る活動を含む)が行われ多忙を極めた2010年について述べた。このカンファレンスにおいて、市場情報課課長トーマスA. スポーキン氏は、ドッド=フランク金融制度改革・消費者保護法(以下「ドッド=フランク法」または「本法」という)[2]922条に基づいて作成された内部告発者プログラムについて説明し、SECは、7月以降、「大量」の内部通報者の情報や通報を受けており、その中には、著しく増加している-毎日1、2件-SECの活動を一層促すこととなる重要視すべき通報も含まれるとのことである。

新しい内部告発者プログラムは、従業員に対して、違反があると思われる場合に、社内コンプライアンス・プログラムを通じてではなく、政府機関に対する社外通報を奨励しており、企業は、従業員の協力を促す全体的なコンプライアンス戦略の一環としてFCPAコンプライアンス・プログラムを実施すべきである。


ドッド=フランク法成立後の雇用主と従業員の関係

2010年7月に成立したドッド=フランク法は、あらゆる証券法違反に適用されるものであるが、同法の条項はFCPAの執行に関し特有の意義を有している[3]。本法は、SECの執行措置の成功に繋がる独自の情報を任意に提供した内部告発者に対して、報奨金を提供している[4]。内部告発者の情報は内部告発者の独自の情報または分析によるもので、他の情報源からSECに対して提供されたものではなく(SECに最初に通報を行ったのが当該内部告発者ではないものの、当該内部告発者が情報源である場合は除く。)、司法、行政もしくは政府の報告、審理、監査もしくは調査[5]またはマスコミからの情報のみに基づくものでもないことが必要である。さらに、違反行為を行った本人は内部告発者足りえない。100万ドルを超える罰金が徴収された場合、内部告発者への報奨金はその10%から30%の範囲である[6]

近年、和解金が数百万ドルに及ぶFCPA上の和解が多数生じていることを考えれば[7]、本法の内部告発者条項により、さらに多くのFCPAに関する調査、執行措置が行われる可能性がある。ドッド=フランク法の内部告発者条項があるが故に、従業員が社内報告/コンプライアンス体制を回避して、政府に社外通報する可能性がある。それ故、企業からは、本法上のインセンティブが、内部コンプライアンス体制を弱体化させてしまうとの主張がある[8]。このような中で、企業は、ドッド=フランク法に基づく報奨金の効果に対抗するコンプライアンス・プログラムの実施について慎重に検討しなければならない。かかるコンプライアンス・プログラムは、内部告発者が企業のコンプライアンスの重要視を確信するよう、内部告発者から提起された問題点について効果的に対処するものである必要である[9]

望ましいFCPAコンプライアンス・プログラムの目的

一般的に、望ましいFCPAコンプライアンス・プログラムとは、従業員の参加に関する4つの補完的な目的を果たすものである。(1) 企業の賄賂防止の基本方針および記録管理に関する情報を従業員に提供する。(2) 賄賂防止の取り組みが重要な売上または取引関係に影響を及ぼすか否かにかかわらず、かかる取り組みに関する企業の姿勢および責任を全従業員に伝える。(3) FCPA上の懸念がほとんどないことが明確な分野と専門家の関与を要する分野とを従業員が区別できるような指導を行う。(4) 方針の遵守を監視しつつ、従業員に対して、いかなる懸念についても早期に報告し、指揮命令系統にあげることを奨励する手段を定める。

従業員の協力および参加を促す効果的なFCPAコンプライアンス・プログラムの重要な要素

すべての企業において機能する単一のFCPAコンプライアンス・プログラムが存在する訳ではない。対象となる事業や業界の諸事情に合わせて、効果的なFCPAコンプライアンス・プログラムを策定しなければならない。また、対象企業が営業活動および事業を行う国々の現地法に違反しないよう調整する必要がある。しかしながら、従業員の協力および参加を促すため、いずれのFCPAコンプライアンス・プログラムにおいても取り組むべき一定の重要なテーマがある。

結局のところ、コンプライアンス重視の文化を育むことを目標としなければならない[10]。そのためには、特に、明文化された方針に従うよう、そして経営陣の行動により蝕まれることがないよう確実を期さなければならない。コンプライアンス重視の文化は一夜にして成る訳ではない。雇用主はこのような文化を育むための措置を講じなければならないのである。以下、FCPAを遵守する文化を促進し、育むために雇用主が講じるべき措置についていくつか述べる。

海外での賄賂を禁じる社内方針

企業の方針声明とは、企業が海外で事業を行うにあたり賄賂を支払わないことを誓約することを公に表明するものである。

これは、新規採用者を含む従業員に対して、企業の汚職に対する姿勢および連邦法の遵守を示すことで、もう一つ目的をも果たすのである。企業の方針声明には、適用法の概要および当該企業が意図するその遵守方法を示すべきである。さらに、当該声明において、その目的を問わず全ての支払いについて適時かつ正確に説明することの重要性を強調すべきである。

独立した賄賂防止方針

賄賂防止方針は、通常、企業の方針があまねく記載され、かつ旅費・宿泊費、外国公務員への応対、支払円滑化に関する企業方針等、実際に起こり得る状況の例示を含むものであろう。かかる方針において、報告義務、社内の支払承認手続き、公務員接待基準および適正な支出明細書の様式についての詳細情報が示される場合もある。その場合も、弁護士以外の者であっても容易に理解できる平易かつ直接的な文言を使用しなければならない。雇用主は、この方針の写しを新規採用者全員に配布すること、またその方針が展開され、あるいは企業の見解が変化した場合、最新情報の提供または再教育のためのプレゼンテーションを実施することを望むであろう。

報復防止に関する社内方針

すべての企業は、内部告発者となり得る従業員の報復措置を受ける可能性の有無についての感じ方に影響を及ぼす立場にある。当然のことながら、法律または規制の違反と思しき行為を解明する者への報復措置は違法である[11]。ドッド=フランク法922条は、この点を確認するのみならず、内部告発者保護を大幅に強化する可能性がある。しかしながら、雇用主が常に法律に従うと必ずしも全ての従業員が信じているとは限らない。したがって、企業は、内部告発者は不当な扱いを受けないことを、どうしたら効果的に従業員に伝えることができるか検討すべきである。

内部告発者となり得る者が、通報を行っても報復は受けないという確信をもてなければならない。こうしたメッセージを効果的に伝える方法として、企業が、現に起きている、あるいは起きているかもしれない不正行為の通報を奨励していると従業員が認識できるよう、報復防止に関する方針をを従業員に提供するし、かつ、継続的に当該方針について注意喚起することも含まれる。

従業員の訓練

コンプライアンス・プログラムにおいては、教育・訓練プログラムおよびコンプライアンスに関するセミナーが重要となる。企業は、現実の実務における実際の懸念事項に対処するための課題を検討し、アドバイスを提示する、実地に即したやり方でのプログラムの実施を検討せねばならない。実務の状況や現実的な特質と関係なく抽象的な倫理基準や指針を定めても効果はないであろう。訓練方法として効果的な方法は、国際市場において従業員が直面する実際の状況を反映した仮説に基づくケーススタディを展開し、かかる実際の状況において生じるふさわしい問題および対応の分析である。

従業員が、入社当初からFCPAコンプライアンス・プログラムに関する方針について知っておくことは重要である。したがって、企業は、包括的な訓練を行うとともに、定期的に追加訓練を行うべきである。営業、海外事業および財務関連の従業員ならびにこれを管理指導する従業員といった重要な従業員に関しては、より集中的な訓練を検討すべきである。

関係従業員による証明書

海外の賄賂授受に関する社内方針を知らされている旨書面により証することを従業員に義務付けるべきであり、従業員はかかる方針の遵守に同意すべきである。また、海外の代理店、代理人、コンサルタントその他取引先に対しても同様の証明書の提出を義務付けるべきである。社内方針において、これらの証明書を毎年要求するか、採用時のみ要求するかについても定めるべきである。腐敗行為が行われるリスクが著しく高い場合には、証明書に加え、弁護士による個別インタビューも社内方針上義務付けるべきであろう。社内方針上、証明書を毎年要求する場合、企業は、確実に証明書が毎年更新されるようににすべきである。更新を怠った場合、企業はFCPAコンプライアンスを重要視していないとの誤ったメッセージが伝わってしまう可能性がある[12]

違反通報に関する内部体制

2002年サーベンス・オクスリー法(「SOX法」)に基づき、法律上、一定の企業の従業員には、違反の通報、また希望する場合には匿名での通報の機会を十分に与えられていなければならない[13]。SOX法に基づき、ニューヨーク証券取引所または株式公開取引所であるNASDAQに上場する企業は全て、従業員から取締役会の監査委員会に対して直接匿名で通報するルートを設けることが義務付けられている[14]。従業員が、この違反通報体制を認識していること、およびあらゆる通報が匿名でなされるという確信を得ていることが必要である[15]

ヘルプライン

匿名の通報ラインが重要だとしつつも、実際にはヘルプラインの設定ができていない企業が非常に多い。もし従業員が、自らが目撃した行為が通報されるべきものなのか否か判断つきかねるとしたらどうなるだろうか。このような場合に、ヘルプラインが役立つのである。すなわち、社内FCPAコンプライアンス・プログラムを実行することが期待されている従業員には、法律および組織の方針に精通している者から指導を受ける必要があり得るのである。この点で、従業員および法務部の弁護士その他の熟慮された正確なアドバイスの提供が可能な者との間の連絡体制が有益であることがわかる。

結論

上述のとおり、従業員による社内コンプライアンス・プログラムへの参加は、海外で営業活動または事業を行う雇用主にとって益々重要性を増す課題である。各企業は、社内コンプライアンス・プログラムに従業員が協力するよう、独自の取り組みを展開することとなり、またすべきであるが、一定の基本的な理念が従業員を協力へと導くのである。本コメンタールで説明した重要なテーマは、適切な方針を展開するに際して有益であると思われる。なお、FCPAの遵守一般またはFCPAコンプライアンス・プログラムへの従業員の協力に関する質問等については当事務所の以下の弁護士まで相談されたい。

ルティ・スミスライン
(ニューヨーク・オフィス)
電話 +1 (212) 336-4086
Eメール rsmithline@mofo.com

ジャンカルロ・ユーリー
(ロサンゼルス・オフィス)
電話 +1 (213) 892-5928
Eメール gurey@mofo.com

本ニュースレターは最近の雇用法の発展について述べたものです。このニュースレターがご提供する情報は一般的なもので、あらゆる事案に適用されるものではありません。具体的な事案においては、当該事案に対する個別の法的助言なくして、ご判断をなされないようにお願い申し上げます。


 

[1] 1977年海外腐敗行為防止法(FCPA)(Pub. L. No. 95-213, 91 Stat. 1494)(15 U.S.C. §§ 78m, 78dd-1, 78dd-2, 78dd-3, 78ffにおいて改正、編纂)。FCPAの条項の概要については、2010年9月20日付の当事務所のクライアントアラート(http://www.mofo.com/files/Uploads/images/100920-FCPA.pdfより入手可能)を参照のこと。
[2] ドッド=フランク金融制度改革・消費者保護法(Pub. L. No. 11-203, 124 Stat. 1376(2010年7月21日))。
[3] ドッド=フランク法成立後のFCPA執行の分析については、2010年7月21日付の当事務所のクライアントアラート(http://www.mofo.com/files/Uploads/Images/100721SLEW.pdfより入手可能)を参照のこと。
[4] ドッド=フランク法に基づき、SECは、2011年4月21日までに922条(内部告発者に対する報奨金に関する条項)を施行しなければならない。パブリックコメントの受付は2010年12月17日で締め切られ、SECは、当該日までに最終的な規則を採択することを公表した。
[5] 同様に、社内弁護士は、その職務を通じて知得した情報を使用することはできない。
[6] SECその他司法省等政府機関が制裁金を徴収することができる。
[7] 2010年11月4日、SECは、外国公務員への何百万ドルもの賄賂の授受に関し罪を問われた7社に対する2億3,650万ドルの和解金を公表した。米国証券取引委員会のプレスリリース「SEC、税関職員に蔓延する収賄容疑で石油サービス会社および運送会社7社を摘発(2010年11月4日)(http://www.sec.gov/news/press/2010/2010-214.htmより入手可能)」。同様に、2010年12月27日、SECは、中南米およびアジアにおいて事業を取得または維持するために外国公務員に賄賂を支払ったとして罪に問われたAlcatel-Lucent, S.A.に対する1億3,700万ドルの和解金を公表した。米国証券取引委員会の訴訟リリース「SEC、海外腐敗行為防止法違反でAlcatel-Lucent, S.A.を摘発、不正利得の返還および罰金1億3,700万ドル超で和解(2010年12月27日)(http://www.sec.gov/litigation/litreleases/2010/lr21795.htmより入手可能)」。
[8] 例えば、米国証券取引委員会倫理リソースセンターのレター(2010年12月17日付)(http://www.ethics.org/files/u5/ERCCommentS7-33-10.pdfより入手可能)(「規則案の検討において、当センターは、社内[倫理およびコンプライアンス]プログラムの報償金その他倫理に則った強固な文化を育成する任意の取組みが及ぼす可能性のある影響に焦点を当てた。規則案では、不正行為を知った従業員に対し、不品行に対する社内手続きを無視するよう奨励してしまう可能性があるという懸念が他の解説者から示されたことを指摘する。」)を参照のこと。
[9] SECの法執行部部長補佐ジョーダン A. トーマス(SEC内部告発者報奨金新時代における不正行為の内部通報に関する討論会(2010年12月1日Morrison & Foerster LLP)(「多くの重要な内部告発事件において、通報当事者が組織の内部通報ルートを経たものの、その結果に満足できず、政府に通報したことを明らかにした非公式の情報源に遭遇した。」))。
[10] コンプライアンス重視の文化から得られる恩恵の詳細な分析については、2011年1月の当事務所の雇用に関するコメンタール(http://www.mofo.com/files/Uploads/Images/110127-Employment-Law-Commentary.pdfより入手可能。)を参照のこと。
[11] サーベンス・オクスリー法806条(18 U.S.C. § 1514Aに編纂)。
[12] 本コメンタールの範囲外であるが、重要なのは、企業は独自のコンプライアンス・プログラムを積極的に執行しなければならない旨留意することである。そうでなければ、企業が社内方針を執行しないことで、従業員が、コンプライアンス・プログラムに関する文書は重く受け止められていないと判断する可能性がある。
[13] 海外で営業活動を行う企業は、一定のコンプライアンス体制の準拠法となる可能性のある現地法について認識すべきである。例えばフランスでは、情報処理および自由に関する全国委員会(Commission Nationale de l'Informatique et des Libertés)(「CNIL」)が、匿名による通報は奨励されず、非常に限定された情報源において認められるに過ぎないとしている。実際、2005年6月14日、2002年サーベンス・オクスリー法に基づく指令に基づく、米国企業2社のフランス子会社による、匿名通報を認めるシステムの実施に関する要請が拒絶された。CNILが採用した2010年の改正により、プライバシーの保護による相反利益の調整が模索されてはいるが、この事例により、企業またはその子会社が、営業活動または事業を行うすべての法域の法律を認識しておくことの重要性が浮き彫りになっている。
[14] サーベンス・オクスリー法301条(15 U.S.C. § 78j-1(m)(4)に編纂)。
[15] 匿名通報ラインには、懸念が提起される諸ルートの中でも特に、800番の番号、ウェブ・ホットラインまたはオンブズマンの事務所が含まれる場合がある。

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