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2009. 06.03

【論文】 穂高 弥生子 弁護士が執筆した「ビジネス法務-株主名簿閲覧請求」が日経ビジネスに掲載されました。

著者: 穂高 弥生子
タイトル: 「ビジネス法務-株主名簿閲覧請求」
掲載誌: 日経ビジネス 2009.5.25号


ビジネス法務-株主名簿閲覧請求
見せる義務と見せない義務

 株主名簿を見せてください-。ライバル会社からこんな請求を受けたらどうするか。
 株主名簿の開示請求権は、株主であれば原則として誰でも行使できるが、会社法では、同業他社の株主から請求を受けた場合は、開示を拒絶できるとされる。理由は、ライバル会社に株主構成を知られると競業に使用される恐れがあるためと説明されてきた。しかし、製品原価や販売先などが書かれている会計帳簿と違い、株主名簿を見られて何が困るのか。これには合理性がないのではないか。
 ライバル会社による株主名簿の開示請求を認めない会社法の規定は、委任状争奪戦を事実上阻んできた。2006年の王子製紙による北越製紙、2008年イー・アクセスによるアッカ・ネットワークスと、いずれもこの規定で名簿閲覧を断念している。

請求が正当か、自ら判断
 ところが、原弘産の日本ハウズイングに対する株主名簿閲覧請求事件で状況は変わった。東京高裁は、同業他社からの請求でも、正当な株主の権利行使のために名簿を使うと証明できれば、会社は名簿を見せなければならないとの判断を下したからだ。
 この決定は、事業会社による敵対的買収に道を拓くものと評価されている。その一方で、開示を求められた会社にとっては、その請求が正当な株主の権利行使と言えるかどうかを、自分で判断しなければならない難しい立場に立たされることになった。
Nikkei Business 20090525 Chart.jpg 日本ハウズイングへのTOB(株式公開買い付け)提案のように、これから委任状勧誘合戦が始まるという場面であれば、それが正当な株主権利行使目的かどうかは容易に判断できる。しかし株主総会まで時間があり、基準日株主さえ確定していないのに「これから委任状争奪戦をやるので名簿を見せてください」と言われた場合はどうしたらいいのか。
 また「あなたの会社にTOBをかけたいので株主名簿を見せてください」と言われた場合はどうか。TOBは株主でなくてもできることを理由に、株主の正当な権利行使ではないと断ってよいものだろうか。
 判断が難しいから、全部見せてしまえというわけにもいかない。特に個人株主の情報は個人情報保護法の対象であり、必要がないのに漏洩させれば、1件当たり5000~数万円単位での賠償が必要となりかねないからだ。
 だからといって裁判所の判断まで一切開示しないという態度は硬直すぎる。しかし開示請求のケースは様々で、いかなる場合に開示していいのか、会社が判断するのは荷が重い話である。判例の積み重ねが待たれるが、当面は、株主提案及び委任状争奪戦が具体化する状況にならない限り、開示には消極的にならざるを得ないだろう。

検査役選任も増加の恐れ
 株主からの請求と言えば、株主総会の決議などがきちんと行われているかをチェックする株主総会検査役の選任請求も悩ましい問題だ。選任請求には、議決権の1%以上の株式を6カ月間保有する必要があるが、株券電子化により保有の立証が容易になり、ハードルは低くなった。
 何が問題かというと、検査役への報酬は、選任請求をしたのが株主であっても会社が負担しなければならないことだ。金額は数十万円から数百万円に上る。選任請求には具体的な必要性が要求されているわけでもなく、権利乱用の恐れも指摘されている。会社としては株主から無用な選任請求をされぬよう、普段からの十分な情報開示や株主との対話を心がけることも必要であろう。 (構成:中原 敬太)


( 『日経ビジネス』2009年5月25日号 日経BP社の了解を得て転載 )

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